ONE SWORD代表安部、及び一部のメンバーの出身校である九州大学芸術工学部・九州芸術工科大学(以下「芸工」)は、2018年に50周年を迎え、記念イベントの実行委員会では、「創立50周年の記念として何か価値のあることができないか」という議論がされていました。恩師に誘われ、実行委員会に参加していた安部は、世界中で活躍する芸工OBや現役芸工生が各々の活動や作品を通じ交流することのできる、芸工関係者(現役芸工生、OB、教職員)のみが参加可能なクローズドSNS 「芸工アプリ」企画を提案しました。
安部は学生時代、就活の仕組みに対してある問題意識を持っていました。それは、学生時代に研究やサークルなどで多才な創作活動などをしていた仲間が、就活になると全然うまくいかず、意図しない進路を選択することが多くあるということです。本来の魅力が伝わらず、志望する企業とマッチしない状況を本人の準備不足だといってしまえばそれまでですが、「(コミュニケーションの面では)不器用だが魅力的なものを持っているポテンシャル人材」を多く知っていたがために、現況は芸工生と社会双方が損をしているのではないかと考えていたのです。
現役学生へのインタビューを通して見えてきたのは、学生時代に接する大人の数が圧倒的に少ないということでした。特に芸工は九州大学本学キャンパスとも離れた大橋というエリアにキャンパスがあり、バイト以外で学外の大人と接する機会がほとんどないという人も少なくありません。また、芸工人材を採用している企業の人事担当者にもインタビューをしたところ、芸工生はたしかに自分を表現するのが苦手な学生が比較的多く、且つ独特の文化(学祭など)が多々存在しているため、活動内容を聞いても芸工関係者でなければその凄さが伝わらないということが多々あると仰っていました。
そこでまずは、芸工アプリ内の企画として、KIDパス(KIDは芸工のイニシャル)という仕組みをつくりました。KIDパスでは、芸工人材を欲する企業と現役学生とのマッチングを行います(企業から見ると採用広告に近い)。学生としては、早い段階からデザインや建築関係のアルバイト・インターンなど、いわゆる「芸工生らしさ」が活かせつつ仕事の現場で大人と接する機会が得られ、学生と企業双方がより濃い関係を築くことができます。既に数社のマッチング実績が生まれており、2021年はより多くのマッチングを創出するべく活動しています。
相互交流による新たな価値の創発を促す芸工アプリの開発及び継続アップデートや情報発信にかかる予算を、マッチング制度KIDパスの売上で賄うことで自走し続けられるモデルを追求しています。
九州大学芸術工学部・九州芸術工科大学同窓会では,ワンソードと連携して「芸工アプリ」のプロジェクトを運営しています。芸工アプリでは,卒業生同士だけではなく,卒業生と在学生の発見的な出会いを促進しようとしています。芸術工学部も創立から50年以上経ち,多くの卒業生は,在学生にとってロールモデルとなれるでしょう。このプロジェクトを推進する影の立役者がワンソードさん。彼らの柔軟かつスキルフルな才能に,支えられています。