システム開発事例:Yorisoiデイサービス開発ストーリーインタビュー|ONE SWORD株式会社

システム開発事例:Yorisoiデイサービス開発ストーリーインタビュー

システム事業部
ONE SWORD編集部
田仲
こんにちは!田仲と申します。
普段は某会社で製品開発をしているのですが、複業留学という研修プログラムにて現在ONE SWORDさんに来ております!
田仲
本日は、通所介護サービス向け記録システム「Yorisoiデイサービス」についてインタビューを行いたいと思います。
開発を担当した十川さん、岡さん、和田さん、よろしくお願いします!

どうぞ…

よろしくお願いいたします!

Yorisoiデイサービスとは

田仲
早速ですが、Yorisoiデイサービスというのはどのようなシステムですか?
十川
Yorisoiデイサービスは、通所介護施設向けの介護記録システムです。
ONE SWORDと株式会社クロスケアデンタルさま(以下CCD)で共同開発しました。

十川
現場職員さんの記録業務時間を短縮することを目的としたシステムで、高齢な職員の方でも操作しやすいシンプルなインターフェイスと動作の速さが特徴になってます。
田仲
業務効率化のためのシステムなんですね。
現場の職員さんの時間を捻出した狙いはなんでしょうか?
十川
業務効率化の背景には、CCDさんが目指している誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト(通称ゼロプロ)の促進があります。

十川
このプロジェクトは、「施設職員の方でもできる口腔ケアを実施することで、利用者の誤嚥性肺炎をなくそう」というものです。
週2回で十分な効果があることが分かっているのですが、現場の職員さんは普段の業務でいっぱいいっぱいだという声をよく伺っていました。

なので、このシステムを導入して得られた時間を使って、口腔ケアや利用者さんとの時間にあてていただくことをゴールに考えています。

田仲
職員の方でもやり方を覚えれば実践できて効果もでる口腔ケアってすごいですね。
十川
すごいですよね。
他にも、口腔ケアを含む介護実績と、健康状態の推移をデータ化して集めることで「科学的介護」を推し進める目的もあったりします。
田仲
なるほど、科学まで関わっているとなると今後データが集まれば更にケア自体も進化して行きそうな予感がしますね。

シンプルに最小構成で解決する

田仲
このプロジェクトはどのようなきっかけでスタートしたんですか?
十川
「記録業務に時間がかかっているから効率化したい」とご相談いただいたのがきっかけですね。
様々な帳票にすべて手書きで情報を残していて、同じことを何度も書いたり手計算をやったりと、大きな手間となっていたようです。

田仲
一言レベルの悩み相談のような状態で来られるんですね。
そういうことってよくあるんですか?
和田
よくありますね。
悩みに対してどういったものを作るかを企画できるので、僕たちとしては燃えます!
田仲
いいですね〜!
そういった相談に対して、だいたいどのようなアプローチで動き出すんですか?
十川
まずは、要望に対してヒアリングをして課題の深堀り・分析をします。
次に、僕たちがたどり着いた本質的な課題に対して、なるべくシンプルに最小構成で解決できる方法を考え、費用や納期をもとに落としどころを探っていきます。

ヒアリング以外はONE SWORD側で進行するので、基本的に任せていただいていますね。

田仲
まずはヒアリングから始まる、と。
「シンプルに最小構成」というのは、システム開発以外の提案もあったりするんですか?
もちろんありますよ!

僕たちは、クライアントの課題と予算を総合的に考慮して、無駄のない必要十分な方法で解決することを大切にしています。
なのでどちらかと言うと、まず既製品を活用することを最初に考えますね。

例えばスプレッドシートで事足りるならそれでもいいし、既製品のアプリケーションで解決するならそれも提案するようにしています。

和田
なんならシステム開発をせずに課題を解決できるのであれば、その方法を選びますね。

システム要否を判断するチャートはだいたいこんな感じとのこと

田仲
システム開発は手段の1つにすぎないんですね。
今回のプロジェクトでも既製品を使うことを検討されたんですか?
十川
既製品も検討したんですけど、ヒアリングの結果、介護記録システムの既製品だと多機能な分使いにくいと思っている方が多いことが分かりました。
田仲
そういうこと良くありますね。使わない機能が色々混在してて、そのために使い方マニュアルみたいなのが存在して、それ見ないと進められない、みたいな。
十川
あるあるですね〜。
特に業務用のシステムとなると、多機能なだけじゃなく、システムを使う訓練をしてもらえる前提があったりするので更にそうなりやすい傾向がありそうですね。
他にも、職員さんの中には高齢の方も多くて、システムを導入すること自体に対して反発があることが分かりました。
なので今回は、高齢の職員さんでも使えて、確実に業務時間が短くできるシステムの開発を提案することにしました。
田仲
高齢の方が簡単に使えるシステム、、、ですか。
でもシステム開発だと大規模な話になりそうですね。
和田
それに関しては、既製品も参考にしていて、そこから必要な機能を見極めてシステム構成を洗練させました。
機能をシンプルにすることで、予算の最適化にもつながっています。

ユーザーストーリーの形で機能の列挙と優先順位決めを行います

田仲
なるほど。必要十分な機能にすることは、予算にまで影響するんですね。

イメージを共有して外さない開発を

田仲
とはいっても、その判断はなかなか難しそうですね。
十川
とても難しいですね。。
関係者全員が、どのような機能が最低限必要なのかは初めは分からないものです。
そこで、まずはプロトタイプを作成して、実際のiPad端末で触っていただいてイメージを共有できるようにしました。

プロトタイプ一覧

十川
これを元に、ユーザーが分かりにくそうにしていたり、操作を迷ったりしているポイントの改善をしたり、打ち合わせを重ねてシステムの全体像や規模をある程度明確にしていくことで、開発スタートに繋げています。
田仲
開発を始める前の段階から思ったより細かい調整をするんですね。
十川
そうですね。
実物を作る前にユーザーと具体的なイメージを共有してなるべく外さない開発をすることが重要だと考えています。

価値のある制作のために大事にしていること

田仲
システム開発において大事にしているポリシーはありますか?
十川
開発そのものを楽しむこともそうですし、一番は価値のある制作をする事です。
制作物が気に入ってもらえたときや、お客様の悩みを解決することが出来た実感があるときに、我々はとても嬉しい気持ちになりますね。
田仲
素直にお客様の喜ぶ顔が見たい、と。
開発の醍醐味ですよね、わかります笑
十川
ですね笑
価値のある制作に繋げるために、

  • インセプションデッキ(後述)に基づいて判断する
  • 小さい妥協点をなるべく減らす
  • 早期リリースによるユーザーからのフィードバック強化

の3つを我々は大事にしています。

①インセプションデッキに基づいて判断する

田仲
インセプションデッキというのはどういうものなんですか?
インセプションデッキというのは、プロジェクトの目的や優先すべきことをチーム内で共有して、成功へつなげるための資料です。
システム開発の指針としてONE SWORD側で作成してまして、開発のキックオフミーティングで共有しています。

本プロジェクトのインセプションデッキ

田仲
けっこうたくさん、色んな項目があるんですね。これ作るの大変そう。。
大変ではあるんですけど、これを作ってクライアントと認識を合わせておくことで、システム開発の軸がブレにくくなるので、トータルでは時短・予算の縮小に繋がっている実感がありますね。

この中でも特に重要と考えているのが「我々はなぜここにいるのか」というシートで、今回のプロジェクトでは以下の3つに決めました。

我々はなぜここにいるのか

  • 介護現場のかたの貴重な時間を利用者との時間に使ってもらうため
  • 手作業では解消できない集計の手間やミスを省くため
  • 従来のシステムでは解消できなかった、誰にとってもシンプルで簡単な操作を実現するため
田仲
なるほど!こういう形で開発の軸を決めておくんですね〜。
ですね!
開発を進めるうえで出てくる細かい迷いに対して、正しくかつ素早く判断することにもつながりますね。

②小さい妥協点をなるべく減らす

田仲
次に、妥協しなかったこだわりポイントはどのようなものがありますか?
十川
例えば、文字を大きくするために画面に表示できる情報量が減ってしまったことがありました。
具体的には検索条件の面積が大きくなりすぎて、肝心な検索結果を表示する範囲が小さくなっちゃったんですよね。
でも、高齢の職員さんでも使いやすいというコンセプトを満たすために、文字の大きさは譲れず。。

色々考えた結果、検索条件をポップアップ表示できるように変更し、画面の大半を検索結果の表示に使えるようにしました。

この画面では文字サイズを保ったまま検索条件欄の面積をぎりぎりまで小さくしました

和田
他には、大量のデータの表示に時間がかかることが開発中後期で発覚しましたね。
原因の解析を行って改良を重ね、最終的には十分素早く表示されるようになりました。

速度改善のために行ったことと
その結果をまとめた資料

田仲
チャレンジもあり、地道な作業もあり、なんですね〜。
ジャンルは違いますが私にも、原因解析で色々切り分け実験やってる中で、「あれ?前もこれ試さなかったっけ?」みたいな経験はあります笑。
こうしてキッチリ記録されてるなんて几帳面ですね。
和田
多分結構几帳面だと思いますね。笑
十川
間違いない笑
こういうところをきっちりすることに喜びを感じるタイプですね。

③早期リリースによるユーザーからのフィードバック強化

田仲
続いて3つ目についてですが、「早期にリリースする」というのは具体的にどういったことをするのでしょうか?
十川
システムが完成してなくても、ある程度の段階でリリースして、ユーザーが自由に触れる状態を作ります。
多少手間がかかりはするんですけど、ユーザーが必要なものに気づきやすくなったり、優先度の高い機能を改めて見つけ出すことができるようになります。
田仲
手間がかかるようで、価値のある制作への近道でもあるんですね。。
十川
そうですね。他にも開発者が見つけられなかったバグを見つけてもらうこともあったりします。
田仲
実際にユーザーに触っていただいたときの発見はありましたか?
十川
実際に触って感じているユーザーの違和感がこちらにも伝わってきますね。つまづいてたり、想定外のところを触ったりとか。

例えば、右上に3本線だけのボタンを置いただけではなかなかメニューボタンと認識してもらえないことが分かったりしました。
最終的には「メニュー」という文字を加えて分かりやすくすることで解決しました。

3本線のアイコンをメニューと認識できる人は意外と限られています。

田仲
え!そうなんですか。驚きですが、言われてみれば3本線のボタンはメニューか何かでしょ? という認識をいつからか勝手に持ってしまってますね。。
十川
ですよね。画面内の情報量は少ないほうがスッキリするので、なるべく不要な文字は入れたくなかったんですけど、分かりやすさのほうが大事だなということでこの方法を選択しました。
あとはボタンを長押ししてしまう、または反応が遅いときに何度もボタンを連打してしまう、ということも分かりました。
困ってる温度感も伝わってくるので、対処の優先度をつけて効果的な改善につなげられたと思います。

開発プロセスにおけるよくある問題点

田仲
開発を進めるうえでありそうな、急な仕様変更や要望とかはどうでしたか?
和田
もちろんあります。

このプロジェクトだと、介護実績を入力するレポート画面でもともと予定されていた内容を実績として自動入力する、という機能を追加してほしいという要望がありました。

自動登録すると、予定と異なった場合に編集することを忘れてしまい、誤った記録が残る可能性がありそうだということで、敢えて実装しない方向で進めていたんですけど、やっぱりなるべく楽にできるようにしたいという気持ちになられたんだと思います。

和田
実物を触ることで、要望がより具体的で確信を持ったものに変わるのは自然なことなので、初期の仕様を完全に固定せずに柔軟さを残しておくことはやはり大事だなと思いました。

ただ、完成間際でのフィードバックだったので、もっと早い段階で気づいてもらえたはずだとは思います。
テストの段階でも実際の業務のように触っていただくことが課題ですね。

田仲
確かにそれは結構難しそうですね。
和田
そうなんです。
今回はテスト用のダミーデータでフィードバックを募集したんですけど、実際の業務で使っているデータにしたほうがよさそうだなと考えています。
田仲
なるほど。より現実的なイメージを持ってもらうわけですね。
開発の手法 も改善していく必要があるんですね。
田仲
他には開発途中で意見が割れるみたいなこともあるんですか?
十川
ユーザー側で意見が割れるということは珍しくはないですね。
今回のシステムは同一法人の8施設に対して制作したのですが、施設によって業務のやり方や帳票が微妙に違う状況だったので、だいたい議論になっていました。
田仲
あー、同じ仕事してるはずなのにやり方が違う、、、よくある話ですよね。耳が痛いです笑
十川
ですよね笑
なので、今回のシステム開発に併せて、業務も一緒に統一していく動きを進めました。
田仲
システム開発が業務プロセスの見直しにもつながっていくのはとてもいい副産物ですね。

ユーザーの反応は!?

田仲
リリース後の効果や反応などは聞いてますか?
リリースして1月後にインタビューを行ってまして、とても嬉しい反応を頂きました!
  • 導入してすぐに1時間の時短につながった
  • 高齢の職員さんはシステムに難色を示しやすいが、このシステムなら大丈夫そう
特にテーマを決めて質問してはないんですけど、初めに設定した2つのハードルをそれぞれクリアしているという声を頂けて本当によかったです!
田仲
おー!狙い通りの反応がそのままもらえているってすごいですね!
十川
めっちゃ嬉しいですね!
ともに開発を行ったCCD浜様からもこちらのコメントをいただきました!
  • ユーザーと開発者の距離が近かったのでゴールを共有できた
  • 大詰めになったときにでもユーザーのニーズを取り入れて対応してくれた
  • リリース後、紙運用から切り替えるのにかなり時間がかかる想定だったが、意外にすぐに移行できた
田仲
こちらも素晴らしいですね〜。CCDさんとの信頼関係を感じます!

まとめ

田仲
ここまでYorisoiデイサービスの開発ストーリーを色々お伺いしましたが、当初の命題をしっかり解決しお客様にも満足いただけているようで、とても素晴らしいと思いました。
このようなよい結果を生み出せた秘訣はずばりなんでしょう?
十川
今回はシンプルで分かりやすいものを作ることで、高齢者に寄り添ったシステムにできたことですかね。
そこにたどり着けたのは、しっかりヒアリングを行うことでユーザーに共感し、課題を解決することにフォーカスした開発が出来たからだと思います!
田仲
なるほど、課題の本質をつかんでピンポイントで解決するという、当たり前のようで難しいところですね。
お話を聞いて、些細な悩みでも相談してみたくなってしまいました。

インタビューありがとうございました!


以上、Yorisoiデイサービスの開発インタビューでした。
インタビュアーの田仲さんもありがとうございました!

ONE SWORDではシステム開発のほか、アプリ開発やヘッドレスCMS/ECの開発も承ってます。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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