前回までのおさらい
こんにちは。マーケティング担当の矢萩です。
「ONE SWORDの新しいウェブサイトができるまで」を発信するこのシリーズ。
前回に引き続き、私が担当させていただきます。
ウェブサイト制作の前段階として、自社のアイデンティティを探っていく工程。
冒険に見立ててひとつずつ振り返ってはいるものの、現在クエスト1とまだまだ先は長いです。
この記事では、「ONE SWORDのコンセプトが決定するまで」について、書いていきます。
社会性グループを除いたタグ トップ3は?
前回の続きとして、これから作っていかなくてはならないのは、「ONE SWORD = ソーシャルグッド × ⬜︎⬜︎⬜︎」の後半部分です。
つまり、グルーピングされたタグの中で、「社会性」のグループは一旦お役御免ということになります。
ここで、これら社会性グループのタグを除いた中から、得票数のランキングをつけてみることにしました。
結果は以下の通りです。
1位 「芸工」 6票
2位 「福岡」 5票
3位 「マーケティング」 4票
2位、3位はわかるとしても、1位については、意味のわからない方も多いかと思います。
「芸工」とは、代表安部や私の出身大学である「九州大学 芸術工学部」の通称です。
確かに、ONE SWORDは半分以上が芸工出身であり、創業時まで遡れば芸工率は100%でした。
また、同窓会のつながりで「芸工アプリ」というプロジェクトなども走っています。
「とはいえ単なる一大学の一学部のことに過ぎないし、今は芸工出身ではないメンバーも増えたので、会社のコンセプトとは無縁だろう」
そう思って素通りしようとしたとき、UKさんからある提案がありました。
コンセプト発掘の後半、テーマは「ダークホースを探すこと」になります。
最終的に不採用になっても全然いいので、無縁そうに見えるものについても掘り下げましょう。
確かに、1位になったからには何か理由があったのかもしれない。
この提言を受けて、”ソーシャルグッド × 芸工”に決まったていで、この言葉に込められた意味について一旦掘り下げてみることになりました。
「芸工」に詰まっていたもの
芸工、九州大学芸術工学部、またその前身である九州芸術工科大学について、その基礎情報についてはWikipediaなどにも記載があるので、そちらをご参照ください。
●芸術工学部Wiki
●九州芸術工科大学Wiki
●九州大学芸術工学部公式サイト
ここにもある通り、芸術工学部は、英語だとDesign Strategyという表記になります。
多方面で活躍されている偉大なる先輩方がいらっしゃる中で、「芸工とは」といったことを語る勇気はないのですが、一言で言ってしまうなら「高次のデザイン」を学ぶ場所です。
ここに至ると、私たちが「デザイン」という言葉を聞く時には、いつも二つに分けて考えていることを思い出しました。
それは、「多くの人にとってのデザイン」と、「(私たちの思う)本当のデザイン」の二つです。
前者「多くの人にとってのデザイン」は、「デザイン」という言葉を、目に見えるコミュニケーションの範囲に限定したものです。
わかりやすく言うなら、「ウェブやチラシの外観をきれいにすること」という意味になるでしょうか。
(「きれいにする」の意味・定義や、「形とは何か」という議論もあるかもしれませんが、ここで私が伝えたいことにはあまり関係がありません)
後者「(私たちの思う)本当のデザイン」においては、ビジュアライズの作業は「デザイン」のほんの一部分にすぎません。
むしろ、視覚的なアウトプットに至る工程そのものが「高次のデザイン」であると私なりに理解しています。
つまりは、「なぜそのアウトプットが必要なのか」まで、いや、「そもそも、なぜその企業が必要なのか」までを遡って考え、「本質や目的に沿う戦略を立てること」ということこそが、私たちにとっての「デザイン」なのです。
(実際に、私たちが日頃している話はこんな話ばかりです)
「デザイン=見た目」という捉え方が前時代的であることは、何も私たちだけが勝手に言っていることではありません。
先日上場した、UI/UXデザインの株式会社グッドパッチさんは、これまでのデザインの考え方を「誤解」とまで言い切っていますし、
同じ福岡の、株式会社うれるやさわやかさんのように、実体験を元に「デザインの本当の役割」について熱く書いてらっしゃる企業さんもあります。
私自身、映像制作やマーケティングなどもある中で「デザイン」だけを取り出しているのは、それが数あるスキルセットのひとつではなく、より高次の(重要な)概念だと捉えているからに他なりません。
こうした考え方は、確かに芸工での生活の中で培われたものだと確信しています。
しかしながら面白いのは、「芸工」出身のメンバー以外についても、「デザイン」という言葉については全員が同じ捉え方をしていたことです。
つまり「芸工」というタグの正体は、単純に出身大学のことを指すのではなく、私たちが大切にしている「高次のデザイン」という精神そのものを指していたということが見えてきました。
ここまで話が及ぶと、「実はこのタグも、それに近い意味なんです」というものがちらほら現れてきます。
そこで、新たに「芸工(Design Strategy)」というグループを作ってみることにしました。
こちらもダークホースすぎて見逃してきましたが、こうして見てみると、「そもそも」は、ONE SWORD内に飛び交う頻度が最も高い言葉であることにも気がつきます。
「言われた通りに、きれいに整える」のではなく、「そもそも」という言葉で課題を深堀りしていく。
それを納得いくまで行うことで、解決のための本質的な戦略を掘り当てることこそが、私たちのスタイルであり、プライドなのです。
「ONE SWORDとは」の答え
ということで、私たちONE SWORD株式会社のコンセプトは、「SOCIAL GOOD × DESIGN」に決定しました。
厳密には「DESIGN STRATEGY」なのですが、入り口はわかりやすく、必要に応じて、それこそ「うれるやさわやか」さんのように、説明をしたらいいと考えています。
ちなみに、ここまで無駄なく、一本道でたどり着いたように見えるかもしれませんが、それは記事にする際に大幅なショートカットをしたからです。
実際は、「芸工」について追求した前後にも、「ダークホースという探す」というテーマの元であちこちを掘り下げました。
(ブービータグ「大稲マンション(※)」の掘り下げが最もつらかったです)
(※2021年4月現在、ONE SWORD株式会社がオフィスとして利用しているマンション)
そして中には、「働き方」や「仕事の仕方」グループのように、「これもONE SWORDの強い特徴だよね」という候補もありました。
しかしながら、結局これらは「仕事ってそもそも」「働くってそもそも」という、言わば「芸工的問い」に答える形で生まれた要素です。
つまりは、「DESIGN STRATEGY」があってこそのタグであることから、SOCIAL GOODに並ぶ最も上位の概念は「DESIGN STRATEGY」が適切だろうと、私たちは結論づけました。
デザイン戦略という武器で、ソーシャルグッドな企業の力になる。
思えば、「ソーシャル」な文脈で動いている世界には「デザイン」的思考が欠けていることが多く、逆に「デザイン」を深く追求される世界は「ソーシャル」な文脈と接点が持てていないことが多いです。
今回決まったコンセプトを前に、どちらの世界においても優位性を発揮することができ、両者をつなぐ存在の筆頭になれたらいいなと感じました。
コンセプト探しの旅を終えて
さて、長きにわたる「コンセプト探究」の旅はここで一区切りです。
リニューアル後のウェブサイトのファーストビューに鎮座した「SOCIAL GOOD × DESIGN」。
私たちをよく知ってくださっている方々の中には、「今さら」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これだけの道のりを経て選び出した言葉です。
最終的に決まったコンセプトそのものもそうですが、自社を構成するひとつひとつの要素を見つめながら進めていくことで、コンセプトの前後のコミュニケーションの方法までもが明確になったことも大きな収穫だったように思います。
ちなみに、前回の教訓は、「自分たちにとっての当たり前の中にヒントがあるかもしれない」でした。
そして今回の場合は、強いていうなら、「最初に除外してしまいそうなもの」の中に「ダークホース的な要素」が潜んでいるかもしれないということでしょうか。
私たちの場合は、検討を重ねた上でDESIGNという普遍的なフレーズを採用しましたが、マイナーだったり、固有名詞だったり、「一見すると使えなさそうな要素」を掘り下げた先で自分たちの本質と結びついたとき、それは独自のコンセプトに変わっていくことを知りました。
(「芸工」は、そのわかりやすい例だったように思います)
今回で、QUEST1「コンセプト」パートは終了になります。
次回からはQUEST2、「ビジョンを浮き彫りにする」をお送りします。
お楽しみにお待ちください。
↓次の記事を読む↓